訪問リハビリのリスク管理でもよく言われるのが、転倒ですが、皆さんはどの様に評価をしていますか?


転倒の危険因子に関しては、環境面の影響から身体機能、又は認知機能面の低下等の影響が挙げられます。


より長く安定した生活を続けるためにも、訪問リハビリにおいて、転倒に対する評価は大変重要であり、原因を探る必要があります。


今回は、在宅で起きやすい転倒の原因と行うべき評価項目について紹介したいと思います。


1.転倒歴


過去1年間の転倒が、その後の複数回の転倒の危険性を高め、他の要因よりも高い影響力を示すと言われています。

一度目の転倒は怪我がなく済んだものの、しばらくしてまた転倒し、骨折等の大けがにつながったケースもありますしね。


訪問リハビリの初回から転倒歴はしっかりと聴取し、対策を練るべきです。


2.視力障害


白内障や緑内障等、高齢者の多くが目の障害を有している可能性があります。

中でも田舎で多いのが、草刈り機を使用中に石やら木の破片等が目に刺さり、失明に近い状態になった等のケースもありました。


視覚からの情報によって、バランスや動きを補正する中で、これらの視力の障害は転倒への危険性を高めやすいといえます。


大まかにでも、どの程度の距離までなら、視覚で認識できるのか? 見えにくい時間帯や色などがあるのかは適宜、確認しておく必要があります。


3.起立性低血圧

活動量が減少し、長期臥床傾向、糖尿病患者、多系統萎縮症等の難病患者にもみられる、起立性低血圧。動作開始時の立ち眩みだけでなく、ひどい場合は失神を引き起こすことからも、転倒の危険性が高く、外傷による二次的危険性を考慮した環境調整が必要です。


特にベッド回りや、トイレ等において、保護用テープや緩衝材を張る等の対応が求められます。


4.歩行能力

歩行速度の遅い人は転倒のリスクが高まるという報告もあるようです。

訪問リハビリにおいても自宅の廊下を利用して、どの程度の距離を何秒で歩けるかを定期的に計測しておくと目安になります。


5.バランス能力

転倒の評価において重要な役割を占めるのがバランス能力といえます。


バランス能力の評価も、簡易的な動作から複合的な動作方法にて評価するものまで多々あるので、訪問環境や疾患、状態に応じたものを選ぶ必要があります。

代表的な物として、

①Time Up and Go test(TUG)

運動器不安定症の診断時に必要な評価基準としても採用されており、介護予防等の分野でよく耳にする評価方法です。


詳細は割愛しますが、訪問リハビリでもよく利用されていますね。


私の場合は、屋内での環境設定が難しい場合は、屋外(庭や敷地内)で行ったことがあります。


②Performance Oriented Mobility Assesment(POMA)

バランスと歩行に分けて評価するテストバッテリー。

簡便で在宅等の環境においても使用しやすい。

バランスと歩行それぞれにおいて点数を出し、総点が28点。

総点が19点未満で転倒の危険性が高い

   19~24点で中等度の危険性

   24点以上で低い


③Berg Balance Scale(BBS)

POMAと同じく複合的なバランス能力を測定可能。

リーチ動作や段差踏み換え等の項目があり、より日常りより生活動作に近い項目が含まれている。


ただ、項目も複数あり、利用者の身体状況によっては疲労感に注意が必要。



6.服薬状況

訪問リハビリにて対象となる利用者が服薬している主なものとして、下記のものがある。


高血圧 血圧下降薬  めまい ふらつき

風邪 抗ヒスタミン薬 眠くなる ボーっとする

睡眠障害 睡眠薬  ふらつく

認知症 抗精神薬  脱力感 筋肉の緊張低下


特に抗精神薬における転倒発生率は高く、服用している薬が多くなるほど、転倒の危険性が増す可能性があるそうです。


訪問リハビリの場面においても、介護者に薬の作用として転倒の危険性が高まる可能性があることを、共有し、注意喚起を行うことが有用といえます。


また、主治医に報告をする際にも、薬の服薬状況と転倒の関係性を伝えることも大事です。


7.認知、心理機能


視力障害と同じく、認知機能の低下に伴う、判断力の低下は転倒への危険性を高めてしまいます。

mini-mental state examination(MMSE)でのスコアによっては認知障害がない人に比べて転倒による骨折のリスクが2倍になるという報告もあるそうです。


心理機能に関しては、うつ症状や過剰な自意識の高さが転倒へのリスクを高めるという報告もあり、各評価項目で得られた結果が良い結果であっても、過信せずに行動することが必要なようです。




訪問リハビリにおいて転倒のリスクを知ること、適宜、評価バッテリーを用いて状態を把握することが、転倒リスクを減少させることにつながります。




個々によって疾患も生活環境も異なる訳ですが、転倒に関する発生要因は類似していることも多々ありますので、評価を蓄積し、転倒リスクがある利用者に当てはめて対応を検討することが有益といえます。




転倒予防に向けた取り組みはまだまだ、細分化できると思いますが、今回挙げた項目を踏まえて対応できれば、十分ではないでしょうか。




最後まで、読んで頂きありがとうございます(^^)/