しかし、介護保険に関する報酬の減少並びにリハビリマネジメント等の複雑化を考えると、介護保険のみでの訪問リハビリに対し、不安感を抱く療法士も多いと思われる。
その様な現状の中、今医療保険での訪問リハビリ(在宅患者リハビリテーション指導管理料)は、往診を実施している医師の基で働いている訪問療法士にとっては、医療保険での訪問リハビリは確実に増加する可能性が高い。
以下にその根拠と方法について提案する。
まず、これからの介護保険の認定者は今まで以上に厳しく精査される。
今までは要支援1・2だった方も厳しく精査され、非該当になる方も増える事が予測される。
介護保険のリハビリの場合、非該当になった時点で、サービスの継続が困難となるが、当該医療保険の医師が往診を行っている場合はどうだろうか?
月に1回以上往診しており、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的とされれば、医師の指示のみで訓練を実施し、算定出来る。
この要件は介護保険に比べ、開始に至るまでの過程が少なく、医師の指示があれば、すぐに提供できる点が強みといえる。
在宅で療養していて、往診が必要な人は病状の重篤差に比例するものではなく、個々のケースで判断せざる負えない。
特に呼吸器系の疾患がある利用者は病状が比較的重度な場合でも、基本動作は比較的高く、介護度が低く判定され易い傾向にある。調査の結果次第では、介護に関する手間が少なく、非該当と判断されるケースも少なくはない。
医療保険での訪問リハビリの拡充を図りたい訪問リハビリの療法士は医師と協議し、医療保険での訪問リハビリについて理解を深め、今後、介護保険を卒業する利用者のセーフティーネットとして、医療保険のリハビリを試みるのは必要な考え方だといえる。
今一度、関係職種の方は算定要件と留意事項について理解を深めてもらえればと思う。
C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料(1単位)
1 同一建物居住者以外の場合 300点
2 同一建物居住者の場合 255点
注1 1については、在宅で療養を行っている患者(当該患者と同一の建物に居住す る他の患者に対して当該保険医療機関が同一日に訪問リハビリテーション指導管 理を行う場合の当該患者(以下この区分番号において「同一建物居住者」という。) を除く。)であって通院が困難なものに対して、
2については、在宅で療養を行 っている患者(同一建物居住者に限る。)であって通院が困難なものに対して、
診療に基づき計画的な医学管理を継続して行い、
かつ、当該診療を行った保険医 療機関の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を訪問させて基本的動作能力若 しくは応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るための訓練等について必 要な指導を行わせた場合に、患者1人につき、1と2を合わせて週6単位
(退院 の日から起算して3月以内の患者にあっては、週12単位)に限り算定する。
2 保険医療機関が、診療に基づき、患者の急性増悪等により一時的に頻回の訪問 リハビリテーション指導管理を行う必要性を認め、計画的な医学管理の下に、在 宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して訪問リハビリテー ション指導管理を行った場合は、注1の規定にかかわらず、1と2を合わせて、 6月に1回に限り、当該診療の日から14日以内に行った訪問リハビリテーション 指導管理については、14日を限度として1日4単位に限り、算定する。
3 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理に要した交通費は、患家の負担とす る。
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定留意事項
(1)在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院してリハビリテーションを受けることが困難な者
→必ず、医師が往診している事。患者が病院に外来受診できる場合は算定出来ない。
又はその家族等患者の看護に当たる者に対して、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、医師の診療に基づき、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を訪問させてリハビリテーションの観点から療養上必要な指導を20分以上行った場合(以下この区分において「1単位」という。)に算定する。
(2)省略
(3)省略
(4)在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、訪問診療を実施する保険医療機関において医師の診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する。(以下、省略)
→往診を1ヶ月毎に必ず行っている患者が候補となる。
訪問診療と診療で表現が異なる様に感じるが、訪問診療のあった日から1月以内という意味。
(5)指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、言語機能又は聴覚機能等に関する指導とする。
(6)医師は、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。
→リハビリ指示書は必要ない
(7)〜(11)省略
コメント
コメント一覧 (4)
5月より医師が訪問診療を行っている「訪問リハビリテーション事業所」で、働き始めたPTです。
現在、訪問リハビリについて勉強中で、「介護保険リハビリと医療保険リハビリの両立」を興味深く記事を拝見させていただきました。
もしよろしければ
当記事に関して質問させていただきたいです
記事の中で
「往診を実施している医師の基で働いている訪問療法士にとっては、医療保険での訪問リハビリは確実に増加する可能性が高い」
とのことですが、訪問診療を行っている当施設では、「介護保険リハビリと医療保険リハビリの両立」は可能なのでしょうか?
介護保険給付を他の医療保険給付より優先され、「医療保険と介護保険の併用は出来ない」ことと聞いたことがあります。
具体的に、他のサービスで介護保険の点数があふれてしまっている患者さんは、医療保険でリハを受けることは可能なのでしょうか?
質問できる方がおらず、よろしければご回答お願いいたします。
記事中の内容についてですが、あくまで、介護保険卒業後も訪問リハビリを行う方法の案として医療保険でのリハビリ(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)について紹介をさせて頂きました。
介護保険リハビリと医療保険のリハビリ(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)
の算定は可能です。
ご質問者様のおっしゃっているケースでは介護保険の限度額の関係から訪問リハビリを提供する事が困難な為、上記の医療保険でのリハビリにて対応可能かという点では出来ません。
また、介護保険でのリハビリと医療保険のリハビリを同一の利用者様に提供する場合は、特定疾患等に認定されている方は、介護保険のリハビリと訪問看護からのリハビリ(医療保険での算定となる)にて併用可能といえます。
そうだったんですね。
読み落としていました。申し訳ありません。
訪問リハにおける「介護保険」「医療保険」
自分の知識の無さに改めて不安になります。
更に質問を重ねてしまい申し訳ないのですが、
訪問リハビリテーションにおいて療法士が身に着けておくべき、知識等を疾患やリハの実際以外に学ぶのにおすすめのテキストやサイトはありますでしょうか?
ご回答いただけますと助かります。
私がよく参考にしているサイトを以下に紹介していきます。
1.介護・福祉情報掲示板 http://www.akai-hana.jp/patio/patio.cgi
2.お手上げ療法士予防派 http://www.p-therapy.jp/entry/2015/10/22/003000
3.rehatoranet http://rehatora.net/plofile/
4.熊本作業療法士会 http://www.kumamoto-ot.jp/news3.php?PHPSESSID=98phsn7o23qmi63344fn9tdnp2#62
5.たぬきの置物 http://blogs.yahoo.co.jp/tanukinookimono1006/18549723.html
6.理学療法士の実体験記 http://blog.livedoor.jp/pt_atom/archives/3813245.html
7.川本愛一郎 執筆文献 file:///home/chronos/u-47a9ba08ba9542b2f5db85b198d0f50cd175fc2e/Downloads/houreha.pdf
8.ま〜ブル革命記 http://blog.soushinkai.com/
9.ptotst未来ミッション https://ptotst-mirai-mission.net/
10.ptotstチャンネル http://ptotst-channel.com/
11.日本訪問リハビリテーション協会 お問い合わせ http://www.houmonreha.org/contact/index.html
12.やまだリハビリテーションラボ http://labo-yamada.com/
上記のサイトは定期的に確認しています。
私的には訪問リハビリの運営で悩む時は日本訪問リハビリテーション協会の問い合わせで質問するのが良いと思いますよ☆
会員外でも丁寧な回答を頂けました。